2025年 映画館での上映―(2)公開本数・公開作品
「映画上映活動年鑑2025」
この記事は、2026年3月発行「映画上映活動年鑑2025」から抜粋したものです。
Research & Reportsより全文をお読みいただけます。
「映画上映活動年鑑2025」
Ⅰ. 映画館での上映
―(2)公開本数・公開作品
公開本数
映画の公開本数は、1955年以降2004年までは大体550~650本を推移してきた。その後、デジタル化の進行とともに増加し続け、2013年には日本映画、外国映画とも500本以上が公開され、公開本数は1000本を越えた。
2025年の映画公開本数は、日本映画694本、外国映画611本、合計1305本であった(映連発表数値)。前年の2024年(1190本)から大幅に増加している。

興行収入
2025年の興行収入は、日本映画が2075億6900万円(前年比133.2%)、外国映画が668億8300万円(前年比130.7%)、合計2744億5200万円で前年比132.6%と大幅な伸びを示しており、2000年代以降最高だったコロナ禍直前の2019年をも上回り、歴代最高を記録した。
興行収入における日本映画のシェアは75.6%、外国映画は24.4%となっている。日本映画が7割以上を占めており、コロナ禍以降の外国映画のシェアの低迷が続いている(2017-2019年は外国映画が45%以上であった)。一方で、2025年は外国映画の興行収入も前年比130.7%と日本映画と同レベルの増加となり回復の兆しがみえる。


公開規模
コミュニティシネマセンターではネット上に掲載された情報等を元に独自に「公開作品リスト」を作成している。2025年の公開本数は日本映画673本、外国映画736本、合計1409本(ODS含)という数値を得ている。映連発表の数値は日本映画694本、外国映画611本、計1305本(ODSを加えると1521本)となっている。かなり大きな開きが出ているが、この要因としては以下のことが考えられる。
近年、旧作のデジタルリマスター版の再上映、特集上映の全国巡回が急増しており、どこまでを「公開作品」としてカウントするかによって、公開本数に差が生じる。コミュニティシネマセンターでは、デジタルリマスター版を中心に上映(配給)権を取得して巡回(複数の映画館へ配給)されているものは原則として「公開作品」としてカウントしており、2025年の外国映画の公開本数736本のうち、旧作のデジタルリマスター版のリバイバル上映と特集上映は249本、約34%を占めるに至っている。特集上映の中には、数年前に上映した作品に新たにデジタルリマスターされた作品を追加して、「●●映画祭2025」といった形にして巡回(配給)されるものもあり、何を「公開作品」とするかを判断するのは容易ではない。また、映連発表ではODSの上映本数が邦画(日本映画)だけで132本に上っているが、コミュニティシネマセンターでは30本程度しか把握できていない。
両者の数値の差は気になるところではあるが、前年からの継続性を鑑みて、以下ではコミュニティシネマセンターで得た数値を元に公開作品の中味を見てみる。
– 公開規模
2025年に「300館以上」で公開されたのは、日本映画87本、外国映画29本であった。
日本映画では370館以上で公開された作品は、400を越える映画館で公開され、実写映画歴代最高記録を更新し続けている『国宝』(6月)を筆頭に、興行収入391.4億円をあげた『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(7月)、100億円を越えた『名探偵コナン隻眼の残像(フラッシュバック)』(4月)や『劇場版「チェンソーマンレゼ篇」(9月)、また、『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』(3月)『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』(8月)といった定番作品などがあり、2025年もアニメーション映画は絶好調であった。また、人気ドラマの映画版『劇場版ドクター X』(24/12月)、『劇場版TOKYO MER走る緊急救命室 南海ミッション』(8月)などが370館以上の映画館で公開されている。
外国映画では、『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(5月)、『アバター ファイヤー・アンド・アッシュ』(12月)、『ジュラシック・ワールド 復活の大地』(8月)といった話題作、『モアナと伝説の海2』(24/12月)、『ズートピア2』(12月)等のアニメーションなど13本が370館以上で公開された。300館以上で公開された作品は29本で昨年を上回っているが、興収を見ると、最もヒットした『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』も52.8億円にとどまり、10億円以上の興収を上げた作品は12本となっている(日本映画は38本)。コロナ禍前の2019年には133億円の興収を得た『アナと雪の女王2』を筆頭に、25本の作品が10億円以上の興収を上げていたことを考えると、現状はかなり厳しいものがある。
2020年のコロナ禍以降、シネコンはそれまで上映しなかった多様な作品を上映するようになった。また、コロナ以前(2019年まで)は150館以上で大規模公開される作品のほとんどは「シネコンのみ」で上映されていたが、2021年以降はシネコン以外の映画館、ミニシアターでも上映されることが増え、その状況は2025年も継続している。シネコンとミニシアターの両方で公開される作品は、2019年は日本映画で104本(18%)、外国映画では125本(24%)であったが、2025年は日本映画で201本(30%)、外国映画では352本(48%)と倍増している。
かつては、シネコンで音楽やスポーツ関係「以外」のドキュメンタリー映画が上映されることはほとんどなかったが、2025年は『黒川の女たち』『小学校 それは小さな社会』、『104歳、哲代さんのひとり暮らし』『大きな家』といった話題を集めたドキュメンタリー映画がシネコンでも上映され、シネコンとミニシアターの上映作品における明確な線引きは薄れつつあるようだ。
そのような状況でも、ミニシアターでしか上映されない作品の割合はあまり変化していない。ミニシアターのみで上映される作品は日本映画では238本(35%)、外国映画では262本(36%)となっている。「49館以下」の小規模公開作品の489本(全公開作品の34%)がミニシアターのみでの公開となっている。ミニシアターでしか上映されない小規模作品の中には、国際映画祭等で高い評価を得た作品や、世界的巨匠の作品、重要なドキュメンタリー映画、多くの若い作り手たちの野心的な作品が含まれている。旧作のデジタルリマスター版のリバイバル上映や監督の特集上映なども、その多くはミニシアターのみで行われている。
– 公開作品の種類
■ 日本映画
2025年の日本映画の公開本数は673本と前年を大きく上回った。
その内訳は劇映画369本(25増)、アニメーション80本(17増)、ドキュメンタリー99本(10増)、公演やライブ等のODSが30本(23減)、特集上映(旧作のデジタルリマスター版含む)が95本と前年(55本)の倍増に近い数となっている。
2025年は『国宝』が公開された年として記憶されることになるだろう。2025年6月に公開され、2026年になっても上映が続き、実写映画の歴代観客数の記録を更新、内外の多くの映画賞を受賞した。アニメーションは相変わらず好調で、「鬼滅の刃」の新作『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(7月)は、400億円には至らなかったものの、歴代2位の391.4億円の大ヒットとなった。この2作品にけん引されるように、日本映画では10億円を越える作品が38作品に上った。
2025年のカンヌ国際映画祭では『国宝』の上映が話題になったが、ほかにも『8番出口』『遠い山なみの光』『見はらし世代』『ルノワール』といった作品が一挙に上映され、8月のロカルノ映画祭では三宅唱監督『旅と日々』がグランプリを受賞、前年の山中瑶子監督、空音央監督らに続き、日本映画の新しい世代の作り手が国際的に注目を集めた。
『ルノワール』(早川千絵)、『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(大九明子)、『ふつうの子ども』(呉美保)、『海辺へ行く道』(横浜聡子)など、子どもを描く女性監督の佳作も多くつくられた。コロナ禍の夏の高校生たちを描いた『この夏の星を見る』なども注目を集めた。
2025年は「戦後80年」という節目の年であり、これに関わる映画も公開された。沖縄の戦後を描いた『宝島』(9月)、原爆が投下された後の長崎を舞台とする『遠い山なみの光』(9月)、『木の上の軍隊』(7月)、『雪風 YUKIKAZE』(8月)、またアニメーション映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』(12月)などが大規模公開されている。
2025年も多くのドキュメンタリー映画が公開された。公開された99本のうち、52本がミニシアターのみで上映されている。ドキュメンタリー映画では、第二次世界大戦末期の満州・黒川開拓団で行われた性接待の事実と帰国後の女性たちの人生を当事者たちの証言によって記録したドキュメンタリー『黒川の女たち』が注目を集め、徐々に公開館が増え、最終的に100館を越える映画館で上映された。
2023年の釜山、2024年のベルリン、2025年の山形と国際映画祭で上映され高い評価を得た、在日朝鮮人2世の映画作家・朴壽南(パク・スナム)と娘の朴麻衣(パク・マイ)が共同で監督した『よみがえる声』は、戦後から現在に至るまで差別を受け続けた在日朝鮮人、長崎、広島で被爆した朝鮮人被爆者を記録した重要なドキュメンタリーで30を越える映画館で上映されている。
東日本大震災から15年(2026年)を経て、自身の故郷である被災地を撮る若いつくり手が注目を集めた。石巻出身の佐藤そのみ監督のドキュメンタリー『春をかさねて』『あなたの瞳に話せたら』は大学の卒業制作としてつくられたもので、自主上映からスタートして、小規模ながら劇場公開もされ、話題を集めた。
2024年に大きな注目を集めたドキュメンタリー映画『どうすればよかったか?』は、2025年も上映が続き、シネコンにまで拡大、公開館は130館を越えている。日本の公立小学校の子どもたちの生活を描き、海外で注目を集めたドキュメンタリー『小学校 それは小さな社会』(24/12月)、児童養護施設で暮らす子どもたちの日常に密着した『大きな家』(24/12月)といった作品は、映画ファンに止まらない幅広い層の観客を得ている。
2025年の日本映画公開作品の新しい傾向として、デジタルリマスター版の公開(リバイバル)が非常に増えた(2024年19本→2025年40本)ことがある。コロナ禍後、この傾向は、外国映画ではすでに顕著になっていたが、2025年は日本映画でも、『リンダリンダリンダ』(2005)、『Love Letter』(1995)、『呪怨』『呪怨2』(2000)、『狂い咲きサンダーロード』(1980)、『お引越し』(1993『夏の庭』)(1994)といった作品の4Kリマスター版が公開されて話題を集めた。アニメーション映画でも「新世紀エヴァンゲリオン劇場版」2作品(1997)、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」2作品(2007/2009)、「デビルマン」2編(1987/1990)、押井守監督の『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(1996『イノセンス』)(2004)、宮崎駿監督『もののけ姫』(1997)などがデジタルリマスター版で次々に公開され、多くのアニメーションファンを集めている。
特集上映の巡回(配給)も増えている。
■ 外国映画
外国映画は、2025年は736本が公開されている。外国映画が不調と言われる中でも、多くの配給会社によって様々な国の多様な作品が配給された。ジャンル別では、劇映画の新作が324本(9減)、アニメーション30本(2減)、ドキュメンタリー 62本(9増)、ODS71本(28増)、特集上映(旧作のデジタルリマスター版含む)が249本(1減)で、公開作品全体の34%を占めている。前述のように、2025年、外国映画で最もヒットしたのは『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』(52.8億円)で、8月に公開された『ジュラシック・ワールド 復活の大地』が49.0億円となっている。ほかには特に目立ったヒット作品はなく、興収10億円以上の作品は12作品に留まっている。
とはいえ、アカデミー賞を受賞したポール・トーマス・アンダーソン監督『ワン・バトル・アフター・アナザー』、ショーン・ベイカー監督『ANORA』、ポン・ジュノ監督『ミッキー17』、アリ・アスター監督『エディントンへようこそ』、ウェス・アンダーソン監督『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』といった作家の作品や、ティモシー・シャラメの熱演が話題となった『名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN』(24/12月)、ブラッド・ピットの魅力全開の『「F1/エフワン」、ミニシアター中心の公開ながら大ヒットとなった『教皇選挙』など、映画ファンの心を掴む作品も数多く公開されている。コロナ禍後の、外国映画新作の低迷傾向は続いているといわれるが、ミニシアターとシネコン両方で公開されることでより多くの観客を集める可能性をもつ作品は増えているように思われる。
ミニシアターを中心に公開されるヨーロッパ映画やアジア映画が集客に腐心する中、香港で歴代第一位を記録した『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』は、公開後、徐々に熱烈なファンを獲得、5億円を越える大ヒットとなった。
ハリウッド以外のアニメーションでは、中国の『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』が200館を越える公開となったほか、大作以外のアニメーションでは、ミニシアターを中心に公開された『Flow』、新潟国際アニメーション映画祭で受賞した『かたつむりのメモワール』や『パフィンの小さな島』などが話題を集めた。
ドキュメンタリーは62本が公開された。女性に関わる2つのドキュメンタリー映画が注目を集めた。『女性の休日』(10月)は、1975年、アイスランドで行われた女性たちが職場や家庭の仕事を放棄したストライキ「女性の休日」を題材とするドキュメンタリーで、公開されるや共感の輪が広がり、映画館以外でも多くの会場で上映されている。もう1本は、映像ジャーナリストの伊藤詩織が、自身の受けた性暴力について調査に乗りだす姿を記録したドキュメンタリー『Black Box Diaries』。12月に1館のみで公開、瞬く間に50館を越える映画館に広がっている。
2025年もジャズ、ロック、クラシックなど幅広いジャンルの音楽系のドキュメンタリーが多く公開された。ミシェル・ルグランやハンス・ジマーといった映画音楽の巨匠のドキュメンタリーが映画ファンを喜ばせている。
イランの名匠モフセン・マフマルバフ監督とハナ・マフマルバフ監督がアフガニスタンとイスラエルで撮った2作品(『子どもたちはもう遊ばない』『苦悩のリスト』24/12月)、ワン・ビン監督の「青春三部作」(4月)といった重要な作品もミニシアターを中心に上映されている。
2026年2月、ドキュメンタリー映画の巨匠フレデリック・ワイズマン監督の訃報が届き、世界中の映画作家、映画ファンがその死を悼んだ。
コロナ禍の2020年以降に顕著な傾向として旧作のリバイバル公開、特集上映が非常に増えているということがある。2025年も100本を越える旧作のデジタルリマスター版が公開され、30を越える特集上映が行われている。
デジタルリマスター版のリバイバル公開では、『アバター』(2009)と『アバター ウェイ・オブ・ウォーター』(2022)が新作の公開に合わせて公開され、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)がIMAXで上映され、『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還 スペシャル・エクステンデッド・エディション』(2005)、『ターミネーター』(1984)といった大作が公開され、80~2000年代のミニシアター系のヒット作『バグダッド・カフェ』(1987)、『グラン・ブルー 完全版』(1988)、『新ドイツ零年』(1991)、『デリカテッセン』(1991)、『冬冬の夏休み』(1984)、エドワード・ヤンの『カップルズ』(1996)『ヤンヤン夏の想い出』(2000)、『ONCE ダブリンの街角で』(2006)といった作品が次々に公開され、12月には、満を持してレオス・カラックスの『ポンヌフの恋人』が上映され、多くの観客を集めた。また、長らく「幻の映画」とされてきた『落下の王国』(2006)のデジタルリマスター版が11月に公開され、“目も眩むほどに美しい圧巻の〈映像詩〉的アート体験”が話題となり、公開24日間で2億円を超える興行収入を記録する異例のヒットとなった。さらに、『天国の日々』(1978)、『バッドランズ』(1973)、『パピヨン』(1973)といった長らくスクリーンで見ることができなかった作品のデジタルリマスター版が公開されている。

また、2025年は30企画を越える特集上映が組まれ、140本を越える映画が上映された。
旧作の特集上映が盛んに行われるという現象は、日本特有のものではなく、ヨーロッパや韓国、台湾等でも同様であるが、東京で行われる特集上映の多彩さは世界的にも群を抜いており、これが、コロナ後の映画館で若い観客を拡大する一助ともなっているようである。
2025年の主な特集上映(外国映画)
- スティーヴン・スピルバーグ IMAX映画祭
- ルネ・ラルー ファンタスティック・コレクション
- ショーン・ベイカー初期傑作選
- 《北欧の至宝》マッツ・ミケルセン生誕60周年祭
- 映像詩人アルベール・ラモリスの知られざる世界
- オスロ、3つの愛の風景
- オリヴェイラ2025 没後10年 マノエル・ド・オリヴェイラ特集
- サタジット・レイ レトロスペクティブ2025
- ラウラ・シタレラ監督特集
- メーサーロシュ・マールタ監督特集 第2章
- ペドロ・コスタ はじまりの刻 1989-1997
- ネリー・カプラン レトロスペクティヴ
- ジャック・ロジエ監督特集
- 特集「男と女-クロニクルズ」
- 台湾巨匠傑作選2025
- アメリカ黒人映画傑作選
- 特集「ミゲル・ゴメス アーリーワークス」
- 映画監督チャン・ゴンジェ 時の記憶と物語の狭間で
- ベルトラン・マンディコ特集 ピンク・ネオン・アポカリプス
- ペルー映画祭 vol.3
興行収入10億円を越える映画/10億円以下の映画
2025年、興行収入10億円を越えた映画は日本映画38本、外国映画12本の50本(2024年41本、2019年65本)であった。本数では全公開本数1305本の3.8%、興行収入では、日本映画約1672.2億円、外国映画350.5億円で合計2022.7億円となり、全興行収入の73.7%(2024年62.9%、2019年76.9%)を占め、前年を10%以上、上回っている。




映画上映活動年鑑2025
A4変形/ 192ページ/2026年3月刊行
委託:独立行政法人日本芸術文化振興会委託事業「令和7年度文化芸術活動の動向把握に向けた基礎資料収集事業」
*「Research & Reports」より全文をお読みいただけます。

I 映画館での上映
概況|➡公開本数・公開作品|諸外国との比較|都道府県別概況|全国映画館リスト2025
Ⅱ 公共上映
Ⅲ 特集|映画館(上映活動)の現状に関する詳細調査 兵庫県の2つの上映活動の詳細調査
Ⅳ 都道府県別上映施設一覧
Ⅴ 上映に関わる用語



